間違いをいつ指摘するか~誤解されたPILOTの話~

文紙MESSEにはうさむしと行ったり、文具店員時代の同僚と行ったりするのですが、今年は文具店員時代の同僚と行きました。

いつも文具のフリーペーパーの「Bun2」をかわいい手紙やカードと一緒に送ってくれるやさしい人で、年に一度真夏の暑い時期に会えるのがとても楽しみなのです。

さて、この元同僚と会うことが自分にもたらす効果というものについて考えた時、もっとも有意義なことの一つは、文具店員時代のあれこれをリアルに思い出せる、ということだと思いました。

普段田舎でぼんやりと文具店員時代を回想していると、たいていいいことしか思い出さないのですが、元同僚と話をしていると、文具店員時代にあった大変なことやしんどかったことがざらざらとした現実味をともなって思い出され、いろいろあったなあとしみじみとするのです。

思い出の美化に歯止めをかける役割、といってもいいのかもしれません。

いろんな文房具に囲まれ、新製品の情報を入手でき、時にはお客さんとの楽しいやりとりなどもあったのですが、注文品のトラブル、ご機嫌斜めすぎるお客さんからの訳の分からないクレーム、メーカーとお客さんの板挟みになり双方からの舌打ちや嫌味などなど、いろいろあったなあと苦い気持ちになるのです。

これがいいなと思いました。
ときどきは記憶を修正しないとなと思うわけです。

さて、元同僚とよもやま話をしていて思い出したことがありました。
それは「PILOT」を「ピロット」だと思い込んでいるお客さんについてです。
いつも電話で注文があるのですが「ピロットの@@」とぶっきらぼうにおっしゃるのです。

最初は「?」と思っていましたが、それがPILOTであることが分かったものの、強面のお客さんだったことや、以前ホテルの接客について書かれたものの中に「お客さまの間違いを訂正してはならない」という言葉(例えば「萩の間」を「『おぎのま』どこ?」とたずねるお客さまに対しては「『はぎのま』はこちらです」とは言わず、「そちらはこちらになります」と言うべきという話)があった気がして、訂正などせずそのままになっていました。

あのお客さんは今でもPILOTをピロットと言っているのであろうか。

と同僚と懐かしく話したのですが、どうなんでしょうか。
ホテルの方がおっしゃるように、お客さんの間違いを訂正する、というのは失礼なことかもしれませんが、本人ははたしていつどのタイミングで学習するのでしょうね。

かくいう猫町は無粋な人間なので、「『レミー』の替芯ある?」とおっしゃるお客さんに「『ラミー』ですか」と言ってしまったこともある気がします。
間接的に間違いを指摘することになるのは生意気には違いありませんが、「モンブラン」を「モントブランク」と思い込んだまま高級筆記具を胸に挿して生きていくのもつらいなあと思ったりするのです。