桂文我独演会

今年もよろしくお願いします!

新年も2週間が過ぎた殿様の月命日…
四谷まで
上方落語の桂文我師匠が大阪、名古屋、京都で好評を博したという独演会

「忠臣蔵」
を、観に行ってまいりました。

「くすぺでぃあ」にもございます古典落語の忠臣蔵

落語の忠臣蔵モノと言うと歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」の部分が物語の中に入り込んでくるパターンがたいがいなのだが、本公演は大序から討ち入りまでが要素になってる落語をあれこれ全段揃えて朝10時半から16時45分まで熱演で披露してくださった稀有な内容となっております。

そもそも師匠はゲストを呼ぶ以外前座も出てこないぶっ通しの独演会をちょいちょいおやりになるようだ。大変な研究家で著書も多数。
東京の落語家についても大変お詳しく、桃中軒雲右衛門のモノマネも飛び出すなど、東西演芸のデパートのような人である。

貴重な文化の発掘作業に大満足でしたが、東京・紀尾井小ホールではお客さんの入りはボチボチ。
忠臣蔵落語を楽しむにはまず仮名手本忠臣蔵がデフォで入ってないと面白くないネタのオンパレードとなれば、相当お客層を選ぶ会なのかも。

飲み食い一切まかりならんという会場で、こういう内容だと、落語会というより研究会みたいでちょっと堅苦しかった印象も。

ともあれ「全段」とは言うもののお話ごとに世界観やギャグセン、ボリュウムなどがバラバラなので各話をアレンジし、ひとつのパッケージとして構成して、たったおひとりでまっとうする体力とおこころざしにただただ感服。

一つの話が終わるごとに幕が下り、そのつど衣装を変えておはなしくださった。

品の良い丁寧なパフォーマンスのおかげでたいへん気分良い居心地でございました。

以下ネタバレ(セトリ)。
(良し悪しうんぬんではなく、確認のためメモる)

大序(田舎芝居)
烏帽子にハチが飛び込むのは手作りの烏帽子のにかわを乾かすためではなく、汗で湿ったから乾かしたというシンプルな経緯になっている。
芝居が進むが四段目の切腹の場をしつらえる諸氏がイノシシ役と飲んだくれてサボって出てこないので(芝居小屋の周囲にで店が出ている設定になっている)、楽屋でなんの役もついてなかった村人が「諸氏をやれ」と急に言われてシシと勘違いして舞台に飛び出して判官を追いかけ回す構成になっている。
「ご領分の殿様に挨拶に来ただなあ」
というオチ。

二段目(芝居風呂)
本蔵ファンと由良之助ファンの喧嘩のバージョン。
二段目の芝居の抜粋はほかの噺に出てくる抜粋より思い出しながら演じてる感じがいたしました。
圧倒的に演じる機会がないのだと思います。
「わしの着物は」「二段目じゃーい」

三段目(質屋芝居)
質屋のあるじと従業員が芝居ごっこに興じて客がほったらかしになる噺だが、「二段目(芝居風呂)」のときと打って変わって師匠の芝居の再現がスムーズで、それはそれで結構なのだが逆に「素人の質屋が演じている」というニュアンスは消えている。
「四段目(蔵丁稚)」が上演の機会が多いので比較しやすいが、師匠方が「素人が芝居の真似をする」という場面をどう演じるかはさまざまで興味深い。

いかにも素人っぽくやるか、そこそこちゃんと師匠方がマスターした芝居場面を披露するか…
個人的には、ちゃんと再現するより落語の登場人物がヘタクソに演じてたほうが滑稽でいいんじゃないかとも思う。

「立体紙芝居」ゲスト桂米平師匠
紙芝居にいろんなパーツを足したり動かしたりしてバカバカしく忠臣蔵をおはなしする。
昔はコレをやってた師匠方も少なくなかったそうだが、手間がかかる割にウケない(笑)ということで、米平師匠のこの珍芸は天然記念物。

<仲入り>

四段目(蔵丁稚)
ここでも芝居好きの子供の真似事というより、けっこうちゃんと四段目の部分を再現されている。

五段目(吐血)
「今日は吐血で死ぬのだ」のサゲ。
噺の序盤に出てくる勘平ばかりがズラリと並ぶギャグのオチは「観兵式」ではなく、「ズラーっと並んで片手に盃持ってカンペーイ!」になっていた。
露の五郎兵衛(2nd)と桂文我(3rd)も定九郎と与市兵衛のコントを得意としたそうです。

<<午前の部・終了。午後別料金で客入れ替え>>

六段目(片袖)
ラストにほんのちょっぴりだけチョボが出てくるハナシだが、御免なさい。そこ以外眠ってしまいました。
そもそも陰気臭い内容でございます。

七段目
これはもう有名なオハナシでして、六段目と打って変わってご陽気。
忠臣蔵の抜粋は六段目の千崎弥五郎たちの玄関の台詞が抜粋されるのがなじみだったが、文我師匠は丁稚が若旦那に声をかける時に三段目裏門合点の伴内(の替え歌)で声をかけて忠臣蔵度が高い。

九段目
時代設定がくだって総髪の医者が出てこない(ゴマシオアタマと変わっている)。
途中で芝居を投げ出した医者が家に帰ってしまい、追いかけた客が
「どないなりまんねん」
「この続きはウチ入りと決まってます」
というアレンジになっている。
(タバコは一切出てこない)

 

「立体紙芝居」
ゲスト・米平師匠の、午前中の続き=後半。

十段目(天野屋利兵衛)
べつの艶笑話2つとともに構成して時間を稼いだ構成。
天野屋が女房の危険を察知するのではなく、大石に口説かれて困った奥さんが怪力で酔っ払った天野屋を自分の布団に納めるアレンジになっている。

十一段目(三村次郎左衛門)
講談のマキジロを短くコンパクトに落語バージョンに仕立て直している。
明治時代の速記本を出店としているが、オチはオリジナル。
「研ぎも研いだり」「斬りも斬ったり」
「呑みも呑んだり」

いやあ、良い厄落としになりました!
京都に見に行こうと思ってたのが行けず、東京で見られてラッキー千万。
でも、仮名手本の客入りは東京が一番な気がするから、もうちょっとみんな遊びに来ればいいのになあと思った。